麻製品について


麻について

麻 綿 比較

夏に、人が快適さを感じる衣服の条件は皮膚温を一定温度以上に上昇させないことです。その限度は、温度32℃、湿度50%とされています。この温湿度が上昇すると蒸れを感じ、33℃湿度80%で発汗が始まり不快感を覚えます。麻は、他の繊維に比べ保温性が低く放射性に優れています。つまり、麻の衣服は不快な体温を放熱して快適な冷涼感を与えてくれるのです。天然植物繊維である麻と綿をその特性について比較したものが右の図です。高温多湿な我が国の気候に対応し、エアコンも無い時代に先人達が夏用衣料として麻素材のものを愛用してきたのは理屈にも合っています。


リネンシャツ

麻衣服の洗濯、シワについてのアドバイス

 

お洗濯について 

綿などの天然繊維のものの洗濯の仕方とほぼ同じですが、少しだけ気遣いをして下さい。

手洗いの場合は、軽く「もみ洗い」か、「押洗い」をします。

洗濯機での洗いの場合は、ぬるま湯(摂氏30~40度)で綿製品の場合よりも少し短めの時間で洗います。

洗剤は綿等に使うものと同じで結構ですが、蛍光剤入りは色合いなどを失わせますから避けて下さい。洗剤をよく除去するため、水洗いは丁寧にして下さい。

 

干し方について

綿などより簡単に干せます。

無理なくシワを伸ばして干します。スーツならハンガーに掛けて下さい。

ブラシなどの使用は、毛羽をたて品質を損なう原因となりますから、避けて下さい。

 

アイロン掛けについて

綿などと同じように、アイロンを掛けて下さい。

麻は綿より乾燥し易い素材ですから、洗濯機の「半乾き」の状態か、又は霧吹きで綿の場合よりも湿気をたっぷり与えてからアイロン掛けして下さい。水分をたっぷりにして、アイロンを高温にして当てる方が早くて綺麗な仕上がりとなります。

スチーム・アイロンでなくても大丈夫です。

 

シワ対策について

麻のシワは、綿のシワに比べて上品なシワです。

麻は綿などと同じように天然素材なのでシワになります。

麻の場合は、スーツで言えば、1日着たら霧吹きでたっぷり水分を与えて、ハンガーに掛けておくだけで、翌朝にはOKです。早めのケアーの気配りがシワを取ります。

 

 


麻の種類




                  

名称 種別 産地 用途
ラミー Ramie
苧麻(ちょま)
からむし
まお
蕁草科(イラクサ)
多年生草木
フィリピン、インドネシア、ブラジル
韓国、中国、台湾
衣料用、縫糸
リネン Flax
Linen
亜麻(アマ)
亜麻科
1年生草木
ロシア、ポーランド、フランス
チェコ、オランダ、ベルギー、台湾
衣料用、ホース、縫糸
大麻 Hemp 桑科
1年生草木
栃木、長野、ロシア、イタリア
ルーマニア
鋼索原料
ジュート Jute
ツナソ
黄麻
田麻科
1年生草木
バングラ、タイ、インド 麻袋、カーペット、基布、ヘッシャンクロス
洋麻 ケナフ 綿葵科
1年生草木
タイ、ロシア、インド 網、黄麻代用
ボウ麻 いちび 綿葵科
1年生草木
熊本、中国 網、黄麻代用
マニラ麻 アバカ 芭蕉科
多年生
フィリピン 網、帽子用真田
サイザル麻 ヘネケン 芭蕉科
多年生
メキシコ、アメリカ、西インド


ヘンプ(麻)と茅葺き屋根

有名な話しは、長野県美麻村の旧中村家住宅(国の重要文化財)、栃木県粟野町の医王寺。茅葺屋根に詳しい方によると現在の日本では1500棟もの茅葺屋根があり、そのうち約3分の1の500棟がオガラを使っているという。80坪の家で3000束(約3トン)と言われており、まっすぐでよいオガラが手に入らないので、茅葺き屋根関係者はとても困っているとのことである。

 

 

 

へンプ(麻)と畳

日本の和室には欠かせない畳。畳表をよく見ると、こんもりとイグサが盛り上がっている。素足で歩くと非常に気持ちのよいものであるが、ただ単にイグサを敷きつめただけではない。しっくりと足になじむよう、イグサの一本一本に経糸というものを絡ませ、表面が均一になるように、はた織り機に似た織機という機械で丁寧に編まれている。この経糸が昔はすべて日本麻=大麻だったのである。今でもイグサの大産地である熊本県は、かつて大麻の大産地でもあったところである。今では、大麻が入手困難品となってしまったために主に綿糸、麻糸(ジュート麻)、マニラ麻糸が使われている。

 

 

住宅用建材や自動車の部品

断熱材といえば、ガラス繊維でできたグラスウールが主流だが、ドイツ等で開発された自然素材のヘンプ断熱材。テルモ・ハンフという商品名で98年かに販売されている。ドイツでは、2003年から自然系の断熱材を使った住宅には、その断熱材の価格の3分の1を国が補助するプログラムであるので、グラスウールとの価格差は2倍未満となっている。

この断熱材は、吸音性も高いためドイツのメルセデンスベンツ車の内装にも使われている。ドイツでは年間売上が10億円ぐらいある素材でもある。

日本の住宅は、昔は低気密低断熱。今は高気密高断熱。湿気の多い日本の気候を考えると今の住宅のあり方はおかしい。目指すべきところは、中気密高断熱。高い断熱性能があり、昔の土壁のような湿度が調整できる壁の現代盤として「麻壁」が期待されている。麻壁が持つ吸放湿性能により、湿度温度を制御し、室内の極端な湿潤や乾燥を和らげ、室内を程よい湿度に保つ「調湿建材」であるかどうかの現在、検証段階中である。素敵なヘンプハウスの完成も間近であろう。

食品

「麻の実(あさのみ、おのみ)」は、うどんやそばなどの薬味である七味唐辛子の一味として入っている。麻の実は、タンパク質と食物繊維と脂肪酸と3つのバランスよく含まれ、昔から中国では整腸作用の高い漢方薬として使われてきた歴史がある。今風に言えば便秘解消の効果が高い食品となる。従来難しかった麻の実の堅い殻を剥く技術がドイツやカナダで開発され、加工や料理の自由度が拡大している。クルミのような味がし、大豆のように加工食品がでる麻の実は、新しい健康食品として生活習慣病の予防・改善の効果が注目されている。日本では、輸入量が1999年で2000トンほどあり、ほとんどが鳥のエサとして流通している。麻の実専門のレストラン「麻」は、98年8月から開店しており、今では麻の実を使ったメニューが多数のレストランで採用される動きになってきている。

 

化粧品の原料

麻の種子(麻の実)から出されるシードオイル(麻実油)には、非常に高い保湿効果があり、オイルに含まれる脂肪酸がすばやく吸収され、乾燥したお肌をしっとりさせる。

有名な例として自然派化粧品店「ザ・ボディ・ショップ」は98年12月から、フランス産のシードオイルをイギリスで加工したスキンケア商品を日本で販売しマーケディングの拡大化を狙っている。

 

保護効果

大麻油は不飽和脂肪酸を80%も含んでおり、(植物油の中で最高)虫除けや有害紫外線などから人体を保護するのに適している。

また大麻の実は大豆と同等の蛋白質を含み、大豆より消化吸収され易く、8種類の必須アミノ酸とリノール酸、リノレン酸が完璧なバランスで保たれている完全食品。

1932年アメリカ農務省は「大麻が地球上で栽培できる植物の中で最も有益である」との声明を出しています。こんな素晴らしいものが、何故悪の根源のように言われるようななったのでしょうか?それは大麻がほとんどのの領域で石油の代替に出来るため、石油産業による経済発展を図る資本家の政治的、経済的配慮が働いたこと。また日本人の古来からの叡智は素晴らしく、占領軍にとつて脅威だったことにあるようです。

花や花穂の中に薬理成分がありこれは決して麻薬でなく、古るから医薬品と使われており、害は余り認められないとのこと。医療大麻は、既にアメリカやカナダでは解禁されており、ガンやエイズに劇的な効果があるそうです。



麻の特徴


 

1. 接触冷感に優れている

皮膚に触れたときの冷感に優れ、夏季製品としてさわやかな感触を与えます。

 

2. 強度に優れている

ラミーは天然繊維の中で最高の強度を持っています。また、水に濡れると、強度はさらに増大します。

 

3. 剛性を持った繊維

ラミーは特に硬く、製品として「シャリ感」「張り」を与え、優れた感触の物が得られます。

亜麻繊維は細くしなやかさをもちます。

 

4. 光沢がある

緻密な繊維構造により、独特な光沢を持ちます。

 

5. 熱伝導性に優れている

天然繊維や化学繊維の中で、熱伝導性に最も優れており、冷涼感の1つの要素となっています。

 

6. 吸湿・放散性に優れている

麻繊維の断面には中空孔があり、吸水時は中空部に水分を含み、発散すると中空孔が絞まるので、汗ばんでも密着しまでん。

 

7. 電気抵抗が小さい

着用中に静電気による障害が無く、着用感に優れ、防汚性もあります。

 

8. 洗濯性に優れている

洗濯によって汚れが落ちやすく、また、柔らかさがすすみ、感触がさらによくなります。

 

9. 熱遮断性が小さい

熱を遮断する能力が小さいので、放熱性が大きく、涼しさを与えます。

 


世界の麻


リネンは、紀元前8000年頃から、スイスの湖畔居住者が魚網やロープとして使用し、また古代エジプトおよびチグリス・ユーフラテス川の流域などで栽培され、一般の衣服の他に、広く生活資材として使われていました。人類最古の繊維と言われております。

古代エジプトでは、リネンは“Woman Moonlight(月光で織られた生地)”と呼ばれ、広く神事にも使用されてきました。

一例としてギリシャ、ローマの貴婦人の間では、上質で純白なリネン(亜麻布)が重宝されていました。かの絶世の美女クレオパトラが、情熱の夜、火照る肌をやすめたものが純白のリネンのシーツでもあったとも言われております。その後、時を経て中世ヨーロッパに深く根付き発展した“リネン”文化。リネン製品はその品質の高さで世界に名声を確立し、今日までヨーロッパ伝統社会にその長い歴史を築き上げてきました。ヨーロッパの多くの家庭で、家宝として受け継がれているテーブルクロスやベッドリネン、家風や品格、美意識を象徴するリネンは、母から娘へ、娘から孫へと、嫁ぐ日に託される大切な家伝の品とされています。本物だけを愛する伝統であります。

リネンは亜麻科の一年草で、栽培地は比較的涼しい地方が多く、ベルギー、フランス北部、オランダです。リネンは毎年同じ土地でも連作すると収穫量が減り、品質も低下するので6~7年の輪作を行います。4月にタネ蒔きをし6月初旬頃から白または青(バイオレット)の可憐な花が咲きます。

茎の太さがマッチ軸くらいで1メートル程に成長した7~8月に抜き取って収穫します。

茎と表皮と木質部の間に繊維の束が並んでおり、この原料段階をフラックス(繊維についた表皮や不純物をきれいに取り除いたもの)と言い、裂くことで麻糸になりこれをもとにリネン製品が作られます。ボール状の実からはペンキや印刷インクなどに使われる亜麻仁油がとれます。


麻の歴史


古代の麻

麻は、人類が繊維を得るために最初に栽培したものの1つで、歴史は非常に古いものです。エジプトでは紀元前1万年ごろ、既にリネンが栽培され、BC5千年には衣料に用いられています。BC2千年にはエジプト王の墓に麻栽培についての壁画もあり、また、エジプトのミイラが麻の強力な強さを生かし、麻布で包まれていることも確認されています。日本では、新石器時代から使われていた形跡があり最古のもので福井県遺跡から縄文早期に生活に利用されていた麻が出土しており、静岡県登呂では、弥生後期の麻の織物が出土しています。

 

中世の麻

シルクが生産され始めたことに伴い、ラミーは上布、縮、晒布などと呼ばれ民衆に呼ばれるようになりました。平安貴族が式服はシルクだったようですが、武士階級は一般庶民と同じく麻が衣料の中心でした。江戸時代に成っても裃、長裃の武士の礼服は麻で作られていました肉体労働をする庶民や武士には麻の通気性が重要だったのです。鎌倉時代から室町時代にかけて、特に軍需用としての消費が増大しました。鎧や兜の裏地は汚れや汗に強いことから麻布が使われていましたし、網や戦闘用衣料、陣屋の幕、旗差物など広く用いられました。特に陣幕は矢を通さない、ということから絶対に麻でなければなりませんでした。

 

近代の麻

明治になると、麻の最大の消費者だった武士がいなくなり、又生活の変化に伴い、急速に麻の衣料用の需要が減りました。しかし、日本で麻の産業が始まったのはこの頃で、繊維採取のためには、明治7年に榎本武揚駐露公使が北海道開拓使長官黒田清隆に亜麻種子を送り、同農園に試作したのが始まりで、本格的に栽培が行われたのは勧業寮の技師吉田健作が渡欧して、麻工業を研究し、帰国後、明治20年札幌市に帝麻の前身の北海道製麻会社が創設されてからである。リネン紡績が始まったのも同20年頃でラミー麻紡績はさらに遅れて、大正元年になってからでした。まず、麻の強力な強さが認知されて、軍需産業を中心に発展し天幕・郵袋・飛行機の羽布・旗・魚網などに活用されました。

 

現代の麻

第2次世界大戦後は民需産業となり、魚網・靴下などで幅広いシェアを誇っていましたが、28年のナイロンの出現でシェアを奪取され、販売量が激減しました。以後、33年にアクリル・麻混で横編に分野進出、40年本麻の横編みブームなど、高度成長期の波に乗ったこともあり、紳士の衣料主体に年ごとの跛行は有るものの、徐々に拡大傾向にありました。そして、51年にファッション素材として注目を浴び、婦人・若年層に浸透したことでファッション素材の1部門として注目を集めだし、市場に定着した素材となりました。